転職の年収交渉は提示の前に決まる|元人事が教える提示年収の決まり方と希望の伝え方

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転職の年収交渉は提示の前に決まる|元人事が教える提示年収の決まり方と希望の伝え方

内定の連絡で、提示年収が思ったより低かった。上げてほしいけれど、言ったら内定を取り消されそうで切り出せない。年収交渉で一番迷うのは、この場面です。

ただ、提示年収のほとんどは、内定の前に決まっています。

僕は元人事責任者として中途採用に5年半携わり、応募者に出す年収を決める側にいました。この記事では、企業が提示額を決める手順と、面接での希望年収の伝え方を説明します。提示の後で上がる人・上がらない人も、決める側の目で書きました。読めば、面接で話すことと、押してよい提示の見分け方が分かります。

結論、最初の提示は、求人票の年収の幅の真ん中の9割くらいから始まります。提示がその辺りなら、根拠を1つ添えて1回だけ希望を伝えてください。真ん中を超えていたら、押しても上がりにくい額です。これから面接なら、今の会社への不満を言いすぎず、希望年収は幅で伝えてください。交渉そのものは、転職エージェントに任せるのがおすすめです。

提示額は、今の年収と求人票の真ん中で決まる

企業が最初に出す年収は、2つの数字をもとに決まります。応募者の今の年収と、求人票に書いた年収の幅の真ん中です。今の年収も求人票の幅も、内定の後の交渉より前に決まっている数字です。

今の年収が、提示額の基準になる

僕が提示額を決める時、応募者の今の年収はかなり参考にしていました。面接で分かるのは、数時間分の姿だけです。今の会社が払っている額は、その人の仕事に付いた値段として、一番確かな数字でした。

だから、今の年収が低い人ほど、提示も低めから始まりやすくなります。同じ求人でも、今の年収が450万円の人と600万円の人では、最初の提示が変わります。今の年収と求人票の真ん中が離れている時、僕は今の年収のほうに寄せていました。年収を大きく上げたいなら、今の年収の伝え方で損をしないでください。

今の年収は、残業代とボーナスを含めた額面で伝えます。基本給だけや手取りで答えると、その低い額が基準になります。反対に、額を盛るのもやめてください。背伸びしている人は、僕は採りませんでした。

最初の提示は、幅の真ん中の9割くらい

求人票の年収の幅は、広く応募を集めるための幅です。経験の浅い人から深い人まで、1枚の求人で募るので広くなります。社内で考えている狙いの額は、幅の真ん中あたりにあります。僕がいた会社では、最初の提示は、求人票の幅の真ん中の9割くらいで出すことが多くありました。

たとえば、求人票に「年収400万〜700万円」とある場合で考えます。幅の真ん中は550万円です。最初の提示は、その9割の約500万円になります。これは、今の年収が真ん中に近い人の場合です。

求人票の年収の幅400万〜700万円のうち、最初の提示は真ん中の9割の約500万円、とても欲しい人には1割増しの約600万円が出ることを示す図

低めに出しておけば、やり取りの中で良い人だと分かった時に上げられます。求人票の上の端の700万円は、応募を集めるための数字です。提示年収の見当は、上の端でなく真ん中から付けてください。

のぼる
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最初の提示が低くても、慌てないでください。低めに出すことが多かったんです。

とても欲しい人には、最初から1割増しで出す

ただし、例外もあります。とても欲しい人には、最初から狙いの1割増しくらいで出すこともありました。400万〜700万円の例なら、真ん中の550万円の1割増しで、約600万円です。

1割増しで出た提示を、さらに上げるのは大変です。企業はもう、狙いを超えた額を出しています。人事の現場では、同じ立場の社員とのつり合いも外せません。狙いを超えた額をさらに上げるには、社内で通る理由が要ります。

交渉は、面接の時から始まっている

提示額を決める材料の多くは、面接で企業に伝わります。今の年収も、転職したい事情も、面接で話すことです。年収交渉は、内定の後でなく、面接の時から始まっています。

今の会社への不満を言いすぎると、下げる余地と見られる

僕が提示額を決める時、今の会社への不満が大きく見えた人は、今の年収より下げる余地があると見ていました。

今の会社から早く出たい人なら、年収が少し下がっても来てくれる、と読めるからです。不満を強く話すほど、提示年収を下げる理由を企業に渡すことになります。

エージェント経由でも同じです。僕がいた会社には、担当者から応募者の本気度として、転職したい事情が届いていました。担当者には本音で相談してください。ただ、その事情は本気度として企業に届きます。不満をどう言い換えて伝えるかを、面談で担当者と決めてください。

ただし、年収を上げたいという本音は、隠さなくてかまいません。

のぼる
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本音が給料でも、僕は気にしませんでした。見ていたのは、話の筋です。

不満が本当の理由でも、話し方は変えられます。評価されないことを理由に転職する人は、多くいました。ただ、面接を通る人は、自分からそうは言いませんでした。担当した仕事の中身を、具体的に話していました。聞いた面接官が「この人は評価されていないな」と思えば、それで十分です。

評価が決まる仕組みと抜け出し方は、頑張っても評価されない時の3つの手順で書いています。転職理由から志望動機までを、筋の通った形で話す型は、転職の志望動機の書き方にまとめました。

希望年収は、今の年収をもとに幅で伝える

面接で希望年収を聞かれたら、1つの額でなく、幅で答えてください。1つの額だと、企業は「出せるか、出せないか」の二択で考えます。幅なら、その中のどこに置くかを考えられます。

企業が受け取る形も、幅です。僕がいた会社に、当たりの担当者が伝えてきたのは、応募者の本気度と年収の希望レンジでした。

幅は、次の2つで決めます。

  • 下の端: これより低いなら転職しない額。年収を上げたいなら、今の年収より上に置く
  • 上の端: 求人票の幅の真ん中まで

上の端を真ん中までにするのは、そこが社内の狙いの額だからです。狙いの中の希望なら、企業はそのまま検討できます。とても欲しい人には、言わなくても企業のほうから上乗せが出ます。

今の年収が、すでに求人票の真ん中を超えている場合は、幅の下を今の年収にそろえてください。提示は今の年収に寄せて決まるので、真ん中を超える額でも出ます。今の年収が幅の上の端に近い人は、年収の幅がもっと高い求人を探すほうが早いです。上のポジションを狙う準備は、転職でキャリアアップするための準備で書いています。

面接で希望年収を聞かれた時の答え方

「今の年収は、残業代と賞与を含めて450万円です。御社では、法人営業の経験を生かして、早く成果を出したいと考えています。そのうえで、500万〜550万円を希望しています。」

求人票が400万〜700万円の場合の例です。今の年収、生かせる経験、希望の幅の順に話しています。今の会社への不満は、1つも入れていません。

提示の後で押してよいのは、真ん中より下の提示

提示額は、最後の数字とは限りません。僕がいた会社でも、実際に良い人だと分かれば、提示の後で上げることは珍しくありませんでした。一方で、押しても上げにくい人もいます。

上がるのは、求人の要件を大きく上回る人です。僕がいた会社では、転職エージェントに出す条件を、社内の要件より広めにしていました。年収が想定より高くても、要件を大きく上回る人は逃したくなかったからです。

要件を上回る経験が面接で伝われば、想定より高い年収でも検討の対象になります。伝わるかどうかは、面接で話す中身で決まります。僕が採りたいと思ったのは、苦労した経験と、それを乗り越えた経験を具体的に話せる人でした。話し方の例は、転職の自己PRの書き方で紹介しています。

上げにくいのは、最初から1割増しで出された人です。求人票が400万〜700万円で、今の年収が真ん中に近い人の場合で、見分け方をまとめます。

最初の提示企業の状態すること
真ん中の9割くらい(約500万円)上げる余地を残している根拠を1つ添えて、真ん中までを伝える
真ん中を超える(約600万円)最初から上乗せしている押しても上がりにくい。受けるか、ほかの内定と比べる

今の年収が真ん中から離れている人や、求人票に幅がない人もいます。その時は、提示が企業の想定の中で高いか低いかを、担当者に聞いてください。

9割くらいの提示なら、根拠に使えるのは要件を上回る経験です。提示を受けてから返事をするまでに、1回で伝えてください。要件を上回る経験を添えれば、企業は社内で上げる理由を説明できます。

提示の後で希望を伝える時の言い方

「ご提示ありがとうございます。求人の要件の法人営業の経験に加えて、新規開拓のチームを2年まとめてきました。この経験も踏まえて、550万円でご検討いただけないでしょうか。」

1割増しで出た額でも希望に届かないなら、その求人とは条件が合わなかったと考えてください。押すより、ほかの選考を進めるほうが早いです。

希望を伝えたら内定を取り消されるのでは、と不安になる人もいます。採用側は、内定を出すまでに書類選考と面接を重ねています。根拠を添えた希望を1回伝えるのは、交渉の範囲です。それだけで内定を取り消す会社は、多くありません。それでも自分で言うのが不安なら、交渉は担当者に任せてください。

年収交渉は、転職エージェントに任せる

自分で年収を押すのが不安なら、転職エージェントを使ってください。担当者は、日程や年収などの条件の調整を、応募者の代わりに企業と行います。額のやり取りを、自分で企業とする必要はありません。

担当者にも、あなたの年収を上げる理由があります。採用が決まると、企業はエージェントに紹介料を払うからです。僕がいた会社では、採用した人の年収の約30%でした。年収500万円なら約150万円で、550万円なら約165万円になります。年収が上がるほど、エージェントに入る紹介料も増えます。

紹介料のぶん企業に嫌がられないか、という心配は、ほぼ要りません。僕がいた会社では、紹介料がかかることは合否の決め手になりませんでした。まったく同じ評価の2人なら直接応募の人を取りますが、差が付くのはその時だけです。紹介料の分だけ、エージェント経由の人の提示額を下げたこともありません。むしろ、高いポジションや急ぎの求人ほど、エージェントに出していました。お金の流れは、転職エージェントとは?仕組みと無料の理由で図にしています。

当たりの担当者は、企業の事情もよく知っています。僕がいた会社では、当たりの担当者ほど、募集の理由や欲しい人材をかなり詳しく聞いてきました。そのうえで企業に伝えてきたのが、応募者の本気度と、年収の希望レンジです。その提示が企業にとって高いか低いかの見当も、担当者なら付けられます。

担当者には、面談の最初に今の年収と希望の幅を伝えてください。求人を選ぶ段階から、年収を考えに入れてもらえます。あなたが幅を伝えれば、企業との額のやり取りは担当者が引き受けます。担当者の見分け方は、担当者がハズレか見分ける3つの質問にまとめました。

エージェント経由で選考中に、企業へ直接、年収の相談をするのはやめてください。採用側から見ると、ビジネスマナーに疑問符がつきます。交渉の窓口は、担当者にまとめてください。

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年収だけで決めない|休日とボーナスも見る

僕は30代で1回転職しました。一番にしたのは待遇です。年収はとても上がり、年間休日は125日になりました。代わりにあきらめたのは、若い会社のような、挑戦しやすい環境です。

辞める時期を決める時も、ボーナスのことは考えませんでした。それ以上に、待遇が良くなったからです。条件面は、家族に相談しました。相談先の選び方は、転職の相談は誰にする?で書いています。

年収の数字だけで決めると、入社してから「思っていたのと違う」となりがちです。内定を受ける前に、次の3つを確かめてください。

確かめること見る所理由
休日年間休日の日数と、休日出勤の有無休日出勤がある職種は、離職率が高かった
残業求人票の残業時間と、提示年収に残業代が含まれるかぼかす会社には、書けない事情がある
1年目のボーナス中途入社の最初のボーナスの計算在籍した月数で減らす会社がある

休日と残業は、面接で聞いてかまいません。休日出勤がある求人なら、月に何日あるかまで聞いてください。僕は求人票に、休日と残業をぼかさず書いていました。

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休みや残業を聞かれても、僕は「頑張って聞いたな」と思っていました。

年間休日の日数の目安は、次の記事で数字つきで説明しています。

提示年収にボーナスが入っているなら、入社した年は、その額に届かないことがあります。僕がいた会社では、中途入社した人の最初のボーナスを、在籍した月数で減らしていました。1年目に実際いくら入るかは、内定を受ける前に担当者を通して確かめてください。今の会社のボーナスを受け取ってから辞める段取りは、ボーナスをもらって円満に退職する方法で書いています。

休みと給料のどちらを取るかで迷ったら、体と状況が許すなら給料、が僕の考えです。ただ、両方を満たす会社は、世の中にたくさんあります。年収と同じくらい、休日とボーナスの中身も確かめてから決めてください。

まとめ|年収交渉は提示の前に始める

転職の提示年収は、今の年収と、求人票の幅の真ん中をもとに決まります。最初の提示は真ん中の9割くらいが多く、とても欲しい人には1割増しで出ます。

だから、年収交渉は面接の時から始めてください。今の会社への不満は言いすぎず、希望年収は今の年収をもとに幅で伝えます。提示が真ん中の9割前後なら根拠を添えて伝えます。真ん中を超えていたら、押しても上がりにくい額です。

交渉は、転職エージェントの担当者に任せるのがおすすめです。首都圏で今の職種を続けるなら、今日type転職エージェントに登録して、希望年収の幅を伝えてください。

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