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退職を決めたものの、何から手をつければいいのか分からない。会社に出す書類と役所の手続きが頭の中で混ざって、期限を過ぎないか不安になる。
退職手続きは、「辞める前に会社とやること」と「辞めた後に自分でやること」の2つに分けると整理できます。そして辞めた後の手続きは、次の会社にいつ入るかで大きく変わります。
僕は元人事責任者として、退職を切り出される側と、中途採用で次の会社として迎える側の両方を見てきました。
この記事では、退職の流れを時期ごとの表にまとめました。会社とのやり取りで損をしないコツと、辞めた後の手続きもパターン別に解説します。
結論、次の会社に退職の翌日から入るなら、役所の手続きはほとんど要りません。1日でも空くなら、退職の翌日から14日以内に、健康保険と年金を切り替えてください。
退職手続きの流れ|1〜3か月前から退職後まで
退職手続きは、次の順で進みます。退職後の期限は、どれも退職の翌日から数えます。
| 時期 | やること | 相手 |
|---|---|---|
| 1〜3か月前 | 就業規則を確かめ、退職を伝える | 直属の上司 |
| 退職日が決まったら | 退職届を出し、有給と最終出社日を決める | 上司・人事 |
| 最終出社日まで | 引き継ぎをして、借りた物を返す | 後任・人事 |
| 退職後5日以内 | 家族の扶養に入る | 家族の勤務先 |
| 退職後14日以内 | 国民健康保険と国民年金に入る | 市区町村 |
| 退職後20日以内 | 任意継続を申し込む | 前の会社の健康保険 |
| 退職後1か月以内 | 離職票と源泉徴収票を受け取る | 会社(郵送) |
| 離職票が届いたら | 失業保険を申し込む | ハローワーク |
| 納付書が届いたら | 住民税を自分で払う(翌年6月からの分も) | 市区町村 |
| 翌年 | 確定申告をする(年内に再就職しない人) | 税務署 |
5日・14日・20日の手続きは、次の会社まで1日でも空く人だけが対象です。自分がどれに当たるかは、次の表で確かめてください。
| パターン | 健康保険 | 年金 |
|---|---|---|
| A 翌日から次の会社 | 次の会社で入る | 次の会社で入る |
| B 1日でも空く(扶養に入らない) | 国民健康保険か任意継続 | 国民年金 |
| C 家族の扶養に入る | 家族の健康保険 | 配偶者の扶養なら配偶者の勤務先経由。それ以外は国民年金 |
それぞれのやり方は、「辞めた後の手続き」の章で説明します。
辞める前に会社とやること|時期・退職日・退職届
会社とのやり取りで大事なのは、伝える時期と、退職日の決め方です。ここで失敗すると、引き止めにあったり、もらえるお金を逃したりします。
退職は、就業規則の期限までに直属の上司へ伝える
民法では、正社員のように期間の定めのない雇用なら、申し出から2週間で辞められます。ただ、多くの会社は就業規則で「1か月前まで」などと決めています。引き継ぎと、後任を決めるのに時間がかかるからです。円満に辞めたいなら、就業規則の期限に合わせてください。
最初に伝える相手は、直属の上司です。同僚や人事に先に話すと、上司が人づてに知ることになり、話がこじれます。
伝える時期も選べます。会社側として助かったのは、組織図を考え直すタイミングの前に言ってもらえた時です。困ったのは、大きなプロジェクトの最中に言われた時でした。期の切り替えや人事異動の前に伝えると、会社は後任を決めやすくなります。
引き止めについても、本音を書きます。僕は、引き止めは基本的にしませんでした。辞めると決めた人は、引き止めても一時的で、結局辞めることが多いからです。辞めると言わずに働いている人との公平感もありました。

「辞めます」は相談ではなく、決めたことの報告として伝えると、話がこじれません。
退職日は、有給・ボーナス・入社日から逆算する
退職前に残っている有給休暇は、使って大丈夫です。会社は取る時期をずらすよう頼めますが、退職日より後にはずらせません。
正直に言うと、会社側としては、退職を伝えた直後から有給を全部使われるのは困ります。法律なので仕方ありません。一方で採用側としては、入社日が遅れるのも困ります。どちらかを立てるなら、僕は次の会社を優先します。有給と入社日がぶつかったら、入社日を優先してください。
決める順番は、次のとおりです。
- 次の会社の入社日を決める(動かさない)
- 引き継ぎに要る日数を確保する
- 残りの日を有給にあて、最終出社日を決める
次の会社がまだ決まっていないなら、退職を伝える前に転職活動を始めてください。収入を途切れさせずに、入社日を決められます。進め方は働きながらの転職活動にまとめました。
ボーナスは、就業規則で「支給日に在籍している人」にだけ払う会社が多いです。もらってから辞めるなら、退職日を支給日より後に置きます。詳しくはボーナスをもらって円満に退職する方法にまとめました。
次の会社まで1日でも空くなら、退職日は月末にするのが基本です。月末に辞めると、その月の保険料は会社が半分払い、年金も厚生年金として1か月分加入できます。最後の給料から2か月分の保険料が引かれることもあるので、手取りが少なくても慌てないでください。月末より前に辞めて、同じ月のうちに次の会社の社会保険に入らなければ、その月は国民年金に入って自分で払います。次の会社に翌日から入るなら、気にしなくて大丈夫です。
退職届を出し、引き継ぎをする
退職日が決まったら、退職届を出します。会社に決まった書式があれば、それを使います。なければ、次の形で十分です。
退職届の例
退職届このたび、一身上の都合により、20XX年X月X日をもって退職いたします。20XX年X月X日 〇〇部 氏名株式会社〇〇 代表取締役 〇〇様
自分の都合で辞める場合、理由は「一身上の都合」と書くのが普通です。詳しい理由を書く必要はありません。
引き継ぎは、後任が1人で回せる状態を目指します。担当業務の一覧、進んでいる案件、取引先の連絡先、ファイルの場所を1つの資料にまとめて渡してください。最終出社日の前に、後任と一緒に一度仕事を回しておくと安心です。
最終日に返すもの・後から届く書類
最終出社日には、会社から借りた物を返します。
- 社員証・入館証
- パソコンなど、会社から借りた機器
- 自分の名刺と、仕事でもらった名刺
- 健康保険の資格確認書(持っている人)
- 経費で買った本や文具
資格確認書は、退職日までしか使えません。退職の翌日以降に使うと、医療費のうち健康保険が払った分(7〜9割)を返すことになります。マイナ保険証の人は、返す物はありません。
退職後には、会社から次の書類が届きます。
| 書類 | 届く時期 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 離職票(1・2) | 退職から10日〜2週間後が多い | 失業保険の申し込み |
| 源泉徴収票 | 退職後1か月以内 | 年末調整・確定申告 |
| 雇用保険被保険者証 | 退職日(会社が預かっている場合) | 次の会社での手続き |
| 退職証明書 | 頼んだ時 | 国保の加入、次の会社に求められた時 |
離職票は、会社が退職日の翌々日から10日以内にハローワークへ手続きし、その後に届きます。ただし、本人が希望しないと発行されないことがあります。失業保険をもらうかもしれない人は、退職前に「離職票が欲しい」と伝えてください。源泉徴収票は、会社が退職後1か月以内に渡す決まりです。退職証明書は、頼めば会社は出さなければなりません。
届かない時は、まず会社に確かめます。それでも届かなければ、相談先は書類ごとに違います。離職票と雇用保険被保険者証はハローワーク、源泉徴収票は税務署、退職証明書は労働基準監督署に相談してください。
辞めた後の手続き|次の仕事がいつ始まるかで決まる
辞めた後の健康保険と年金は、最初の章の表のA・B・Cのパターンで決まります。パターンごとに、やることを説明します。
A 翌日から次の会社に入る人は、書類を渡すだけ
僕も30代で転職した時は、退職日と入社日の間を空けませんでした。この場合、健康保険と年金は次の会社が手続きします。自分でやるのは、次の会社に書類を渡すことだけです。
- 源泉徴収票(年末調整に使う)
- 雇用保険の被保険者番号が分かるもの
- 基礎年金番号が分かるもの(マイナンバーで足りることが多い)
住民税は、前の会社と次の会社に頼めば、給料からの天引きを続けられることがあります。入社の手続きの時に、次の会社の人事に聞いてください。
B 1日でも空く人は、14日以内に健康保険と年金を切り替える
健康保険は、国民健康保険か任意継続のどちらかを選びます。任意継続は、辞めた会社の健康保険に、自分で保険料を払って入り続ける仕組みです。
| 国民健康保険 | 任意継続 | |
|---|---|---|
| 期限 | 14日以内 | 20日以内(郵送は必着) |
| 窓口 | 市区町村 | 加入していた健康保険 |
| 保険料 | 前の年の所得などで決まる | 在職中のほぼ2倍(上限あり) |
| 条件 | なし | 2か月以上続けて加入。最長2年 |
家族を養っている人は、任意継続のほうが安くなりやすいです。国民健康保険は家族の人数に応じて保険料が増えますが、任意継続は家族の分がかからないからです。それ以外の人は、市区町村で国民健康保険の保険料を試算してもらい、任意継続と比べて決めてください。
国民健康保険の届け出が遅れても、保険料は退職の翌日の分からかかります。届け出るまでの医療費は、原則全額自己負担です。任意継続は、期限を過ぎると原則入れません。
年金は、退職の翌日から14日以内に、市区町村の窓口で国民年金に切り替えます。保険料が払えない時は、退職を理由にした免除を申請できます。国民健康保険と国民年金の窓口では、退職日が分かる書類が必要です。離職票は14日に間に合わないことがあるので、退職前に会社へ「健康保険の資格喪失証明書が欲しい」と伝えておいてください。
失業保険は、離職票が届いたら、住所地のハローワークで申し込みます。自分の都合で辞めた場合、7日の待期の後に、原則1か月の給付制限があります。受け取れるのは、原則として退職の翌日から1年の間だけです。もらえる額と入金までの流れは、失業保険のもらい方で解説しています。
C 家族の扶養に入る人は、家族の勤務先経由で5日以内
家族の健康保険の扶養に入るには、家族から勤務先へ届け出てもらうのが決まりです。配偶者の扶養に入るなら、年金の手続きも同じ勤務先で一緒に進みます。親など配偶者以外の扶養に入る場合、年金は自分で国民年金に入ります。Bと同じく、14日以内に市区町村の窓口へ行ってください。
扶養に入れるのは、年収の見込みなどの条件を満たす人だけです。日本年金機構によると、失業保険の1日あたりの額が3,612円以上だと、もらっている間は扶養から外れます。その間は、Bの国民健康保険と国民年金に入ってください。
住民税と所得税は、全員が確かめる
住民税は、辞めた月で払い方が変わります。
| 辞めた月 | 残りの払い方 |
|---|---|
| 1〜4月 | 最後の給料などから、5月分までまとめて引かれる |
| 5月 | 最後の給料から、5月分が引かれる |
| 6〜12月 | 納付書で自分で払う(申し出れば、まとめて引いてもらえる) |
まとめて払っても、辞めた年の所得の分は、翌年6月から別に請求が来ます。収入がない時期に届くので、その分のお金を残しておいてください。
所得税は、年内に次の会社に入れば、次の会社の年末調整で精算されます。年内に再就職しなかった人は、翌年に確定申告をすると、納めすぎた税金が戻ることがあります。
まとめ|入社日を先に決めて、退職日を逆算する
退職手続きは、次の会社に入る日から逆算すると迷いません。
- 退職は、就業規則の期限までに、決めたこととして直属の上司へ伝える
- 退職日は、入社日・引き継ぎ・有給・ボーナスから逆算する
- 失業保険をもらうかもしれないなら、「離職票が欲しい」と退職前に伝える
- 翌日から次の会社に入るなら、書類を渡すだけ。1日でも空くなら、14日以内に健康保険と年金
次の仕事がまだ決まっていない人は、転職エージェントに相談すると、求人探しと日程の調整を任せられます。もう辞めた人も同じです。選び方は次の記事にまとめました。