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「失業保険をもらえるのか不安」と感じる人は多くいます。失業保険は制度や手続きが複雑で、受給方法がわかりにくいのが現状です。この記事では、失業保険の受給条件や計算方法、手続きの流れまで詳しく解説します。記事を読めば、失業保険制度をしっかり理解し、安心して受給手続きを進められます。
保険の仕組みを理解して、転職活動に専念できる環境を整えましょう。
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失業保険がもらえる条件

失業保険がもらえる条件を、以下の対象者ごとに解説します。
- 一般の離職者
- 特定受給資格者
- 特定理由離職者
一般の離職者
一般の離職者とは、自己都合で退職した人です。転職や引越し、結婚などの理由で自主的に退職した場合が該当します。受給資格を得るには、離職日以前2年間で雇用保険の加入期間が12か月以上必要です。加入期間は、賃金支払基礎日数が月11日以上の月を1か月として計算します。
自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加えて3か月の給付制限期間があります。5月1日に離職した場合、8月8日から受給開始です。過去5年以内に2回以上の離職歴がある場合は、給付制限期間が4か月に延長されます。
特定受給資格者

特定受給資格者として認定される離職理由は、以下のとおりです。
- 会社の倒産による離職
- リストラや解雇による離職
- 事業所の移転による離職
- 雇い止めによる離職
- 契約期間満了による離職
特定受給資格者は、離職日以前1年間に6か月以上の雇用保険加入期間があれば受給資格を得られます。一般の離職者と比べて加入期間の条件が緩和されているのが特徴です。受給開始も7日間の待機期間後からすぐに開始され、給付制限期間はありません。
特定理由離職者
特定理由離職者とは、正当な理由のある自己都合退職者です。健康上の理由や妊娠・出産・育児、介護などの家庭の事情で退職を余儀なくされた場合が該当します。通勤困難やセクハラ・パワハラなどの労働環境問題も、認定対象となる場合があります。
受給資格の条件は特定受給資格者と同じく、離職日以前1年間で6か月以上の雇用保険加入期間が必要です。待機期間は7日間で、給付制限期間はありません。自己都合退職でも正当な理由があれば、早期に受給を開始できます。
失業保険のもらい方

失業保険のもらい方の手順は以下のとおりです。
- 必要書類の準備
- ハローワークでの手続き
- 雇用保険受給者説明会への参加
- 失業の認定
必要書類の準備
失業保険を申請するには、離職票や本人確認書類など複数の書類が必要です。書類が不足していると受付できないため、事前に確認しましょう。離職票は退職後、通常10日程度で自宅に郵送されます。届かない場合は、前の職場に問い合わせてください。
2週間以上経っても届かない場合は、退職を証明できる書類があれば代用できる可能性があります。必要な書類がそろったら、住所地を管轄するハローワークへ持参します。書類の有効期限や必要枚数を確認し、漏れがないよう準備しましょう。
ハローワークでの手続き

ハローワークでの手続きの流れは以下のとおりです。
- 求職申込書に記入する
- 離職票などの必要書類を提出する
- 受給資格の確認を受ける
- 雇用保険説明会の日程を確認する
- 雇用保険受給資格者証を受け取る
手続きの中で受給資格の確認が行われ、条件を満たしていれば雇用保険受給資格者証が交付されます。必要書類を提出した日が受給資格決定日になり、7日間の待機期間が始まります。最後に指定される、雇用保険説明会の日程には必ず出席しましょう。
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雇用保険受給者説明会への参加
雇用保険受給者説明会は、失業保険を受給するために欠かせません。説明会では受給手続きの流れや求職活動の方法、注意事項について詳しい説明があります。説明会を欠席すると受給資格を失う可能性があるので、必ず参加しましょう。説明会で、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付されます。
次回以降の失業認定に必要な書類なので大切に保管しましょう。説明会の最後に次回の失業認定日が指定されるので、日程を忘れずにメモしてください。指定された認定日に来所できない場合は、必ず事前に連絡が必要です。説明会は2時間程度で、全受給者が同じ内容を受講します。
失業の認定

失業認定は4週間に1回、ハローワークで行われます。前回の認定日から4週間分の失業状態を確認し、求職活動実績の報告も必要です。2回目以降の認定では、期間中に2回以上の求職活動実績が必要になります。指定された認定日に来所できない場合は、早めにハローワークへ連絡しましょう。
認定を受けると、5営業日以内に指定口座へ基本手当が振り込まれます。受給期間中にアルバイトや収入があった場合は、必ず申告が必要です。虚偽の申告は不正受給となり、厳しいペナルティの対象になります。失業認定は、混雑を避けるため時間指定制です。
指定時間の10分前には会場に到着し、認定申告書の記入漏れがないか確認しましょう。求職活動実績を裏付ける資料として、面接結果通知や説明会参加証明書なども用意しておくと安心です。認定時には、次回の就職活動の方向性についても相談できます。
もらえる失業保険の計算方法

もらえる失業保険の計算方法を解説します。上限額と下限額の設定も併せて確認しましょう。
賃金日額の計算
賃金日額は、離職前6か月間の給与総額を180で割って計算します。給与には基本給のほか、残業手当や通勤手当も含まれます。賞与や臨時に支払われた手当は該当しません。月給30万円で6か月間勤務していた場合、180万円÷180=1万円が賃金日額です。
賃金日額には年齢に応じた上限が設定されています。30歳未満の場合、賃金日額の上限は1万3,670円です。計算結果が上限を超える場合は、上限額が適用されます。
基本手当日額の計算

基本手当日額は、失業保険で1日当たりにもらえる金額です。計算方法は賃金日額に給付率を掛けるだけですが、年齢や賃金によって給付率が変わります。具体的な給付率は以下のとおりです。
- 30歳~59歳:50〜80%
- 60〜64歳:45〜80%
- 65歳以上:一律45%
月給25万円で働いていた35歳の人の場合を見てみましょう。6か月分の給与150万円を180で割り、賃金日額8,333円を算出します。合計に給付率60%を掛けると、基本手当日額は5,000円です。1か月の給付額は基本手当日額に28日を掛けた14万円です。
賃金日額や基本手当日額には上限と下限が設定されているため、計算結果が範囲外の場合は調整されます。
上限額と下限額の設定
基本手当日額には上限額と下限額が設定されています。2023年8月時点の基本手当日額の上限額は以下のとおりです。
- 30歳未満:7,065円
- 30〜44歳:7,845円
- 45〜59歳:8,635円
- 60〜64歳:7,420円
下限額はすべての年齢で2,574円です。上限額は、年齢層ごとの平均賃金を考慮して設定されています。45〜59歳の上限額が最も高く設定されているのは、賃金水準が相対的に高いためです。下限額は最低限の生活保障として、全年齢で同一の金額が設定されています。
金額は賃金や物価の動向に応じて、毎年8月に見直されるため、直近の金額をハローワークで確認しましょう。
失業保険がもらえるタイミング

失業保険の受給開始時期は離職理由によって異なります。失業保険がもらえるタイミングをケース別に見てみましょう。
一般の離職者の場合
一般の離職者は、ハローワークでの手続き完了後から7日間の待機期間があります。さらに給付制限期間として3か月が設けられているため、実際の受給開始は離職から約3か月後です。過去5年以内に2回以上の離職歴がある場合は、給付制限期間が4か月に延長されます。
待機期間と給付制限期間中も、4週間ごとの失業認定は必要です。認定を受けないと受給資格を失う可能性があるため、期間中も定期的にハローワークへ通う必要があります。給付制限期間が終了すると、翌日から失業保険の支給が始まります。
特定受給資格者・特定理由離職者の場合

特定受給資格者や特定理由離職者には、給付制限期間は設けられません。手続きの翌日から7日間の待機期間のみで受給が開始されます。早期に給付を受けられる理由は以下のとおりです。
- 再就職の準備期間が不十分である
- 自己都合ではない離職理由がある
- 離職に正当な理由がある
- 生活支援が早急に必要である
- 離職に本人の責めに帰さない事情がある
待機期間中も求職活動は必要です。ハローワークに求職申込みを行い、積極的な就職活動を示す必要があります。待機期間満了後は、4週間ごとの失業認定を受けると給付金が支給されます。
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待機期間と給付制限期間の違い
待機期間は、すべての離職者に適用される7日間の期間です。給付制限期間は、自己都合による離職者のみに3か月間設けられる期間です。待機期間は受給資格決定日の翌日から始まり、給付制限期間は待機期間満了日の翌日から始まります。両期間中も求職活動は必要ですが、失業給付は支給されません。
7月1日に受給資格決定を受けた場合、7月2~8日までが待機期間です。自己都合退職の場合は、7月9日~10月8日までが給付制限期間です。10月9日から失業給付の支給が始まり、以降は4週間ごとの失業認定と支給が続きます。特定受給資格者や特定理由離職者は、待機期間の7月9日から支給開始の予定です。
失業保険がもらえる期間

失業保険の給付日数は離職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって異なります。具体的な給付期間を以下のケースごとに見てみましょう。
- 一般の離職者の場合
- 特定受給資格者・特定理由離職者の場合
一般の離職者の場合
一般の離職者の給付日数は、雇用保険の加入期間によって90〜150日の範囲で決定されます。加入期間が10年未満の場合は90日、10〜20年未満は120日、20年以上は150日の給付を受けられます。給付日数が決まったら、日数分の受給が完了するまでが受給期間です。
給付は4週間ごとに最大28日分が支給されます。給付日数が90日の場合、約3か月間の受給期間です。給付制限期間中は給付日数に含まれないため、受給期間が延びます。病気やけがで就職できない場合は、最大で3年まで受給期間を延長できる制度もあるので、併せてチェックしましょう。
特定受給資格者・特定理由離職者の場合
特定受給資格者と特定理由離職者の給付日数は、年齢と雇用保険の加入期間で決定されます。年齢が45歳以上で加入期間が20年以上の場合は、最長で330日分の給付を受けられます。30歳未満で加入期間が1年未満の場合は90日分です。年齢と加入期間が長いほど給付日数が増えます。
就職が困難と認められる人は、給付日数が最大で360日まで延長されます。就職が困難な人とは、障害者や就職先が限定される専門的な技能を持つ人などです。給付日数の延長を希望する場合は、ハローワークに相談してください。
失業保険をもらう際に注意すること

失業保険をもらう際に注意するのは、以下のとおりです。
- 求職活動した実績の必要性
- 受給期間中のアルバイトやパートの扱い
- 不正受給のリスク
求職活動した実績の必要性
失業保険を受給するには、4週間ごとの失業認定日までに2回以上の求職活動実績が必要になります。求職活動実績として認められるのは、企業への応募や面接参加、ハローワークでの職業相談、就職セミナーへの参加などです。求職活動実績が不足すると、給付が停止されるので注意しましょう。
失業認定申告書には、求職活動の日時や内容、活動先の事業所名などを詳しく記入します。オンラインでの求人応募や職業相談も実績として認められます。再就職に向けた資格取得のための勉強も、求職活動の一環として認められる場合があるため、ハローワークに相談しましょう。
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受給期間中のアルバイトやパートの扱い

失業保険の受給期間中でも、一定の条件内であればアルバイトやパートで働けます。アルバイト収入について、注意する点は以下のとおりです。
- 週20時間未満の労働が条件
- 1日4時間以上の勤務は不支給
- 収入は必ず申告が必要
- 基本手当日額の1.3倍以上の収入は不支給
- 31日以上の雇用は常用就職扱い
収入が基本手当日額の1.3倍を超えた日は、失業給付が支給されません。収入は必ず申告する必要があり、虚偽の申告は不正受給になります。アルバイトを始める前に、ハローワークに相談して条件を確認しましょう。
不正受給のリスク
失業保険の不正受給は犯罪行為です。就職や収入があるにもかかわらず申告しない場合や、虚偽の求職活動実績を報告する場合は不正受給です。不正受給が発覚すると、給付金の返還に加えて、返還額の2倍相当額の納付命令が出されます。刑事罰の対象になる場合もあります。
不正受給は、将来の失業保険の受給資格にも影響があるので、細心の注意を払いましょう。不正受給を行った期間に応じて、次回以降の受給が制限されます。意図的な不正でなくても、申告漏れや誤った申告は不正受給とみなされます。疑問点があれば、必ずハローワークに確認しましょう。
まとめ

失業保険は、次の仕事を見つけるまでの生活を支える重要な制度です。受給条件や計算方法を正しく理解し、必要な手続きを踏めば、安心して転職活動に専念できます。待機期間や給付制限期間、求職活動実績の報告などのルールを守って、適切に利用しましょう。